海外企業とのコミュニケーションで悩んだ時、見直べきポイントは?
海外企業とのコミュニケーションで悩んでいる方、結構多いのではないでしょうか? 言いたいことが相手に上手く伝わらない、違う意味で捉えられた…これは、イライラしますよね。でも、いったいこれは誰の・何のせいでしょう? 実は、英語の語学力不足だけが原因ではありません。海外企業とのコミュニケーションで悩んだ時、見直すべきポイントが実は他にもあるのです。そこを詳しく解説して行きたいと思います。
海外企業とのコミュニケーションで悩んだ時は、相手の立場で考える
例えば、海外企業と交渉を重ねる中で、突然相手からの連絡が途絶えた、もしくはメールの返事が超遅くなった、多くのトピックを協議するために長文をメールしたのに、返事がまさかの一言!? なんて塩対応をされたこと、きっと多くの方が経験していると思います。ものすごく時間と労力を掛けて書いた渾身のメールへの返事が一言って本当にメール読んだのか!?って悲しい気持ちになるし、本気で腹が立ちますよね。
これは海外企業と取引をしていると結構「あるある」なんですよね(笑) 勿論、色々と理由や事情はあると思います。でも、まさかその原因が「自分にある」かも知れないなんて考えたことありますか?
海外企業とのコミュニケーションで悩んだ時は、まずは自分の情報の伝え方に問題がないか、情報を受け取った相手がどのよう感じるか、相手の立場に立って考えてみることが重要です。
メールでのコミュニケーションで悩んだ時、見直すべきポイントについて
今でもビジネス上のコミュニケーションはメールが主流ですし、海外企業とのやり取りにおいても、これは同じです。そのメールでのコミュニケーションで悩んだ時、見直すべきポイントについて詳しくお伝えしたいと思います。
丁寧な長文メールは嫌われる!?
まず、日本語のビジネスメールは相手に失礼がないように挨拶から始まって、結びの挨拶で終わる基本の型がありますよね。 そして文中でも、相手を慮ってどうしても婉曲した表現になってしまい、なかなか明確な結論に辿り着かない構造になっています。 つまり一番大切な、どうして欲しい、こうして欲しいという結論の部分は、相手が最後まで文章を読まないと分からないワケです。 その文章をそのまま翻訳ソフトにかけて海外の取引先に送信していませんか?
ハッキリ言いましょう。その丁寧なメールは、海外のビジネスパーソンにとっては長い、ダラダラと無駄に長過ぎるのです。 不要なセンテンスが多過ぎます。しかも、明確な趣旨や結論が最後まで分からない要領の得ない曖昧な長文は、嫌われます。厳しいようですが、相手の時間を奪う行為です。
最終的に、読むのが面倒くさい、読む価値がないと捉えられてしまう可能性もあります。心を込めて丁寧なメールを送っても、これでは本末転倒です。情報を受け取った相手がどのよう感じるか、相手の立場に立って、一度客観的に考えてみることが重要ですね。
メールは短く、明確が好まれる
海外で仕事のデキるビジネスパーソンやエグゼクティブは、かなりの高確率で、重要な情報だけを明確に盛り込んだ、極めて短い文章を送ってきます。これは本当に見事なスキルです。
可能な限り短い言葉で、最初に何のためのメールか趣旨や結論を相手に伝え、その後に結論を裏付けるため、端的かつ誤解を生じさせない補足説明が続きます。 結論が最初に理解できると、話の全容が頭に入って来やすく、相手の興味を引くことができます。 ビジネスメールで優先すべきは、丁寧できれいな文章であることより、いかに短く明確に相手に意志を伝えることができるか?ということがポイントです。
文法にも現れるコミュニケ-ションの違い
ちなみに、日本語と英語の文法からもコミュニケーションの取り方や考え方の違いを読み解くことができます。 英語の文法では、SVO
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S(主語)+V(動詞)+O(目的)
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の順になります。つまり、常に動詞(結論)が目的(説明)よりも先に来るのです。こう考えたら、とてもシンプルですよね。つまり、Englishスピーカーや英語思考では結論(動詞)を早く知りたいワケです。細かい説明はその後で良いのです。色々と想像したり、思いを巡らせながら結論を待つということができません。
ところが、日本語では
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S(主語)+O(目的)+V(動詞)
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の順となります。場合によっては主語が省略され、細かい目的(状況説明)から始まることもあります。その過程で色々と想像したり、思いを巡らせながら、話の着地点(結論)を探りながら話に耳を傾けるのは、いかにも日本的で日本語の粋な部分ではあります。
でも相手が外国人となると、表現が婉曲的で結論(動詞)が最後に来るコミュニケーションの取り方では、 相手が話の途中で迷子になってしまい、強くストレスを感じることになります。ニュアンスを読み取ることにも慣れていませんし…これではビジネスシーンにおいて、相手との良いレスポンスは期待できません。
海外企業とコミュニケーションを上手く取る方法
文法にもわかりやすくコミュニケ-ションの違いが現れていますが、但し、これはどちらが正解で不正解という問題ではありません。単に、言語や文化の違いによるものと言えます。 ただ、日本では常識とされる丁寧さや相手を慮った言動が、海外では必ず評価されるものではない、場合によっては非常識になったり相手にストレスを与える可能性があるという別の視点を持つということが非常に重要です。特に、海外企業とビジネスをする上では知っておく必要がありますよね。
そして、海外企業とスムーズにコミュニケーションを取るためには異なる文化を理解すると同時に違いを受け入れ、相手に合わせる柔軟性が求められます。
ちなみに、ビジネスの世界では相手がどこの国であっても、基本的に英語がコミュニケーションツールとなるケースが殆どです。 だから、もし海外企業から連絡が来なくなった、返事が遅い、塩対応…(泣)で悩んでいるのであれば、一度メールの文章構成から見直してみると良いですね。
まずは日本語をベースにしてメールを作成するのではなく、英語をベースにして文章を作成することをお勧めします。
困った時ほど翻訳ソフトには頼らない!
昨今の翻訳ソフトはかなり高性能ですが、いくらAIと言えども、さすがに相手の文化や思考を考慮するまでの編集機能は備わっていません。 これは私達、人間だけが対応できる領域であり、自動化できない部分となります。 しかも、日本語思考のやり方を続けても、残念ながら相手がこちら側に寄せてくれることはまず殆どありません。 まずは、自分から英語思考に寄せて日本語思考との違いを理解し、受け入れそれから英語思考でコミュニケーションを取ってみてください。
すると、今まで上手く意思疎通が図れなかった相手とのコミュニケーションも自ずと改善されます。 ビジネスは人と人との繋がりであり、輸入ビジネスは国境を越えます。 それを言葉の壁ということで簡単に片付けてしまわないでください。困った時ほど、翻訳ソフトには頼らずに、自分の思考を切り替える必要がありますね。
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自分だけが扱える海外商品の直接取引をコーディネートする貿易戦略コンサルタント。
中小の専門商社及び輸入車インポーターにて20年間に渡り、15ヵ国・100社以上の海外企業との交渉や売買・独占販売契約の締結、貿易実務、国際物流など海外業務全般に携わる。また、米国ラスベガスでの就労経験も持つ。
言語の壁、貿易の経験や知識不足等により海外ビジネスに積極的に取組めない中小企業が商社に頼らず、直接取引を実現するための支援サービスを提供している。
2019年4月より(公財)横浜企業経営支援財団にて横浜市企業のための国際ビジネスマッチングや海外展開も支援中。
2020年4月より(一社)Glocal Solutions Japan 認定専門家 「貿易戦略コンサルタント」として活動中。