海外取引を始めようと思ったら
今から3年後の自社のビジネス展開がイメージできますか?
2019年10月には消費税が10%に増税、2020年には東京オリンピック・パラリンピックも終了しており、それから先の自社の明るい未来が想像できていますか?迫りくる大きな変化に対し何の対策も講じずに只々傍観しているだけでは成長は望めません。
少子高齢化と人口減少が同時に進行している日本では、将来的に市場が縮小していく事は必至です。対して、毎年増加している世界人口や加速するグローバル化。従来の商圏のみでは成長が望めないからこそ、今後成長が見込める海外市場に向けて販路拡大や事業展開を選択肢の1つとして検討すべき時期が到来していると感じます。
貿易ってなに?
貿易とは異なる国と国の間における商品の売買取引です。最近は、これにサービス(特許使用料など)も含まれます。特に輸出は、自国(日本)から他国(海外)へ商品を送り出す取引のことで、輸出のメリットは国内の何十倍もの世界市場にアクセスできる可能性があります。取引相手が海外に存在するという点を除けば、基本的には売り手と買い手の関係で成立する一般的な商取引と同じです。但し、国内商取引の常識を海外商取引に持ち込むと後々大きな痛手を負う可能性が非常に高くなります。海外展開を考える際には、この違いをしっかりと理解した上で準備を進めて下さい。
国内取引と海外取引の4つの違い:文化や習慣
- 言語
海外との取引を考えた時に最初に立ちはだかる壁は言語ではないでしょうか?輸出する相手国の現地の言語または日本語でコミュニケーションを取る方法もありますが、それでは展開できる市場が限られてしまいます。海外取引での共通言語は基本的に英語となるので、必要最低限の英語はマスターしておきたいところです。但し、完璧な英語でなくても恥ずかしがることはありませんが、後々のトラブルを回避するためには、必ず口頭でのやり取りや電話での会話等は追って書面にして相手に送り、理解に相違がないか確認をしましょう。曖昧な部分を残しておくと、必ず大きなトラブルの原因になります。
- 制度や規制
相手国によって、法規制や輸出入に取引規制を設けていることがあります。日本では、輸出に対して「リスト規制」や「キャッチオール規制」を設けており、輸出する貨物または提供する技術が外国為替および外国貿易法の輸出貿易管理令別表1、別表2および外国為替令別表で規制されている貨物・技術に該当するかどうかを判定(該非判定)する必要があります。また、相手国によって輸入に対する規制や禁止品目は異なりますので、取引を開始する前に十分な調査が必要です。
- 商習慣
海外取引を難しくさせているのは国によって商習慣や考え方が異なることです。例えば、日本では当たり前の「月末締め・翌月末払い」といった「締め日」の概念が殆どありません。
一般的には、インボイスの日付から〇〇日後の支払い(Net 〇〇days)となります。但し、海外取引では後払いではなく、少なくとも一部デポジット(頭金)を入れてもらう、又はL/C(信用状)取引をする等、しっかりとリスク管理する必要があります。
- カントリーリスク
平和な日本にいると忘れてしまいがちですが、国によっては戦争や内乱、テロ、政変などにより、輸出入や為替送金がストップしてしまう不可抗力的な危険性(カントリーリスク)があります。このようなリスクを避けるには、相手国の政治経済の動向を事前に把握すると共に、貿易保険に加入する等してリスクヘッジすると良いでしょう。株式会社日本貿易保険(NEXI)より、国ごとの債務支払い状況、経済・金融情勢等の情報に基づいた評価により決定された国・地域のリスクカテゴリーが発表されていますのでご参照下さい。www.nexi.go.jp/cover/categorytable
自分だけが扱える海外商品の直接取引をコーディネートする貿易戦略コンサルタント。
中小の専門商社及び輸入車インポーターにて20年間に渡り、15ヵ国・100社以上の海外企業との交渉や売買・独占販売契約の締結、貿易実務、国際物流など海外業務全般に携わる。また、米国ラスベガスでの就労経験も持つ。
言語の壁、貿易の経験や知識不足等により海外ビジネスに積極的に取組めない中小企業が商社に頼らず、直接取引を実現するための支援サービスを提供している。
2019年4月より(公財)横浜企業経営支援財団にて横浜市企業のための国際ビジネスマッチングや海外展開も支援中。
2020年4月より(一社)Glocal Solutions Japan 認定専門家 「貿易戦略コンサルタント」として活動中。