海外取引のリスクを軽減する信用調査
海外取引では、契約から決済までかなりの時間を要するため、常に代金回収リスクがつきまといます。また、取引先と直接顔を合わせる機会がなかなかないため、本当に信用できる相手なのか把握しにくいのが実情です。
海外取引を成功させるには、きちんと契約を履行してくれる誠意ある取引先と信頼関係を築き、長期間に渡るパートナーシップを確立し、継続的な取引を実現することが成功のカギと言えます。つまり、最初の選定が肝心なのです。現実問題として、特に発展途上国には銀行口座もないような怪しい業者も多数存在しており、また新興企業の倒産率は非常に高くなっています。リスクを少しでも軽減するために、新規取引を開始する前にきちんと相手の信用度を調査しておく必要があります。
では、相手の何を調査するのか? 信用調査には、「4C」と呼ばれるポイントがあります。
- Capital (資産や財務状態): 資本力や支払能力はあるか?
- Capacity (営業能力): 営業力がどの程度あるのか?
- Character (誠実性、信頼性): 契約履行に対する責任感や取引実績、評判等
- Conditions (政治的・経済的事情): 客観的に判断して、成長性はあるのか?
「4C」を調査する方法(例)
① インターネットを活用
インターネットが普及している昨今では、殆どの会社が自社ホームページを持っているので、そこから会社概要や沿革を確認する。
② バンク・リファレンス(銀行信用照会)
自社の取引銀行を通して、相手の取引銀行に打診してもらう。
③ ダンレポート
ダン&ブラッドストリート社が行う世界で最も利用されている企業信用調査で、世界200ヵ国の企業の信用格付けや財務情報、経営状況等を集めて分析した報告書。日本では、東京商工リサーチが窓口となっています。基本的には、東京商工リサーチの会員向けサービスですが、スポットの依頼にも相談可。
④ Coface(コファス)サービス・ジャパン
全世界の取引信用保険及び関連サービスを提供するコファスグループによる海外企業調査レポート。スポットでの依頼も可能だが、ジェトロ会員であれば約50%割引にて利用可能です(ジェトロ会員専用ページからの申込に限ります)。
⑤ 帝国データバンク
帝国データバンクが現地事情に精通した調査会社と提携して提供する海外企業信用調査報告書。但し、サービスの利用は帝国データバンクの会員に限られます。
私の今までの経験では、新規取引先と口座開設する時はよくダンレポートを利用しておりました。企業情報や信用格付け、直近数年間の財務状況、収益、業界内でのポジションなど様々な角度から分析がされ非常に有益な情報を得ることができました。また、ジェトロ会員であればコファスの海外企業調査も安く利用できるため、活用すべきだと思います。
ちなみに、いずれの信用調査であっても調査対象企業により得られる情報量はかなり異なります。社歴が短い新興企業や信用調査に協力的ではない企業に関しては、殆ど情報が集まらない場合もあります。会社として存在しないのは論外ですが、信用調査の結果すぐに取引を諦めるのではなく、「リスクの可能性が有る会社」と客観的に受け止め、支払方法において少し高めのパーセンテージのデポジット(頭金)を取引条件にする、輸出価格を高めに設定し十分なマージンを確保する等、自社のリスクの軽減を考慮しながら今後交渉を進める判断材料として活用して頂きたいと思います。
今後の事業の発展性を考え、長期間に渡る継続的な取引を実現するためには、多少費用を掛けてでもパートナーの信用調査は必ず事前にしっかりと行うことをお勧めします。
海外取引先との実践交渉マニュアル
海外取引において、リスクを軽減するための信用調査はもちろん重要ですが、それ以上に海外取引先と日頃から密にコミュニケーションを取ることが最も大切です。コミュニケーションを通じて相手方の企業風土や経営方針、事業に取り組む姿勢、運営などリアルに感じ取ることができます。
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自分だけが扱える海外商品の直接取引をコーディネートする貿易戦略コンサルタント。
中小の専門商社及び輸入車インポーターにて20年間に渡り、15ヵ国・100社以上の海外企業との交渉や売買・独占販売契約の締結、貿易実務、国際物流など海外業務全般に携わる。また、米国ラスベガスでの就労経験も持つ。
言語の壁、貿易の経験や知識不足等により海外ビジネスに積極的に取組めない中小企業が商社に頼らず、直接取引を実現するための支援サービスを提供している。
2019年4月より(公財)横浜企業経営支援財団にて横浜市企業のための国際ビジネスマッチングや海外展開も支援中。
2020年4月より(一社)Glocal Solutions Japan 認定専門家 「貿易戦略コンサルタント」として活動中。